こんにちは。@watildeです。現在、世界で医療データの利活用を広く推進するYuimediにてプロダクトと経営戦略を主に見ています。(最近Lekoさんが参加されました)
前回の記事でも書いたとおり、「関わる人の市場価値の最大化」を実施していくことが中長期的な活動の一つなのですが、個人的 ~ 同じチームメンバーとしてMentorshipを結んでいたYuimediのエンジニアの@kuriyoshが継続にNode.jsへのコントリビュートを行い、結果としてCore Collaboratorとなったので記事にて共有しようと思います。
彼視点の話は、下記の記事を読んでみてください。

また、本記事は@kuriyosh本人にもレビューをしてもらった上で公開しています。
メンタリング(Mentorship)とは
詳しくはwikipediaに書いてありますが、成長機会を求める人に、アドバイスが行える人が継続的サポートを行う関係のことを指すようです。私自身、過去に外資系の企業にいた頃は”メンタリング”という単語をよく耳にして、メンターになってもらえないか聞いたり聞かれたり、ということがあったんですが定義に囚われずに行ってきました。この記事を書くにあたって、メンターに期待されている役割を下記の3つの要素を継続的に実施すること、と自分なりに整理してみました。
- 相談をしてくれる人のゴールを整理
- ゴールに向かうためのステップを一緒に設計
- 各ステップを達成する補助を行う
自分が何を知らないのか、解像度を上げることが役に立つ
メンターを頼まれる際に、よく私自身がどのように今に至るのか聞かれることが多くありました。再現性があるか分からないし、まだ何も成し遂げていないのでロールモデルとしては基本的に推奨してきませんでした。回答としては「もし自分が10年前に戻って効率的に今に至るためには何を学ぶべきか」という視点でハードスキルと学習方法について触れることが多かったです。具体的には、1) 論理学 2) 外国語 3) 技術 を業務で身につけながら、デザイン思考、ファイナンス、様々な業界の知識などについて同様に体験学習を少しずつ重ね、自分が何を知らないのか解像度を上げるのが良いと考えています。物事の複雑性に対して楽観的にならず、各領域の専門家と対話すべきタイミングを見計らえるようになることが致命的な状況を避けるのに重要だと日々感じます。
Node.jsへの貢献を入口としてみる
実際の行動に落とし込むのに、エンジニアとしての自分が物事の全体像を見始めるキッカケになったのはNode.jsのCore Collaboratorになったことでした。OSSの中の人の気持ちになってソフトウェアがどのように変化していくべきなのか、手を動かしながら多くの知識を体験学習できる学習機会となりました。大枠の詳細に関してはFront-End Lounge #1にて話した通りなので、今回は割愛します。
上記の内容の再現性に関して、直感では再現すると思っていたのですが、再現した事実がないので懐疑的ではありました。そんな折に@kuriyoshと話す機会があり、彼の目指す方向性を整理した上で、結果としてNode.jsへの貢献を継続的にサポートしていくこととなりました。
以下、具体的な内容は割愛しつつ、実際に@kuriyoshがNode.js Core Collaboratorになるにあたって、私視点で行ったことを軽く共有していきます。
価値観を伺い、整理し、具体化のサポート
デザイン思考などで用いられる手法(文末参考リンク参照)などを用いて、インタビュー対象者の考えを明らかにします。中期的なゴールとしてエンジニアとしての視座を上げる点が出てきたので、上記のNode.jsのCore Collaboratorをゴールとしました。
移行は継続的な1:1を元に、活動の補助を行っていきました。
継続的な貢献を通じたコミュニティ内での信頼の獲得と環境の提供
組織への継続的な貢献を元に信頼を獲得して自身の裁量を拡大していくことが、より大きな目標を達成するのに必要な活動と個人的によく考えています。Node.jsにおいても、PR, Issueでの活動を通じて継続的な貢献を示すことが重要であり、PRの継続的な作成は分かりやすい活動となります。PRの作成では、Issues, Coverageを見た上で、改善すべき項目を調査することに多くの時間を要します。実現をするのに下記の2点を提供しました。
- 直しやすい改善点の探し方として、issueの検索方法、コードベースの歩き方、coverageの見方の共有
- 業務時間の20%を使ってOSSへの貢献をKPIを持って継続的に実施
これを元に、@kuriyoshが地道な活動を継続してnodejs org以下に24コミットを作成しました。
活動ゴールの実現サポート
24コミットはコミッターになるのに十分な実績と過去の推薦を見る限り分かりました。ここで、実際にCore Collaboratorへの推薦が行われないと実績につながらないということで、私自身がTSCメンバーと議論をして、ノミネーションのプロセス確認、ノミネーションreadyかの確認、オンボーディングのサポート依頼を行いました。
これを元に、James, Trott, Joyeeのサポートを得ながら推薦を実施し、承認の末にオンボーディングに至りました。最後は最近のコラボレータ同士の別れの挨拶でたまに聞く “See you again on GitHub” と言い合って締めくくりました。

エンジニアがNode.jsのコミッターになることを、会社としてサポートしながら実現した事例を日本であまり聞いたことがないので、よい事例が作れたのかなと思います。結果論ではありますが、これを以てYuimediの開発メンバーが全員Node.js Core Collaboratorとなりました。
今後もあと8人くらいは同じ体験の提供ができるのではと社内で話しているところです。
所属するメンバーへのリターンの提供
貢献を行った人への報酬面でのリターン提供はもちろんのことですが、これに加えて私が在籍しているYuimediを辞めた後でもステップアップができるような学習機会の提供を個々に合わせて私が行える範囲で提案をしています。今回はエンジニアのお話でしたが、所属している医師に大学院へ行きながら研究に関連した領域を主軸として働ける環境の提供や、デザイナーへのDesign Thinkingの学習機会の提供、製薬会社出身者に医大と協同で社会人向けの講演機会の提供なども行っています。
優秀と言われているような人は、どこで働いても楽しめるしリターンが得られると思います。さらに踏み込んで、具体的な個人の実績となる活動の提案と継続的なサポートを行えるのが我々ができるベストであり、Yuimediだからこそ得られる体験なのかなと思っています。引き続き、他の結果が出た際にはブログにて共有できればと思います。
お話してみませんか(再掲)
この記事を読んで少しでも私と一緒に働いてみることに興味が出た方がいれば、TwitterやLinkedInなどでご連絡くださいませ。会社の現状、中長期的なビジョン、キャリアの相談などカジュアル面談でお話できるかと思います 🙂
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