こんにちは。@watildeです。
世界で一人目となるDeveloper Relations Engineer(Mobile)として1年半ほど在籍したAWSを3/31にて退職をして、4月より世界で医療データの利活用を広く推進するYuimediへの入社をすることとなりました。AWS在籍中は@akitsukadaをはじめとする、多くの同僚に温かいご支援を頂いて成果を共創できたことを嬉しく思います。
この記事では、過去・現在・未来の軸で 1) 何をしてきたのか 2) 今月から何を行うのか 3) 今後は何を目指すのか について共有して関係者、並びに今後ご一緒させて頂くかもしれないみなさまへのご挨拶とさせて頂ければと思っています。
内容に入る前に、いつもの冒頭で伝えたいことが2点あります。
前提(再掲)
1. 退職した会社に対しては100%ポジティブな印象
様々なチャレンジはありましたが、献身的なメンバーの助けもあり非常に楽しかったです。在籍の間に獲得した価値観を忘れずに成長し、機会があれば恩返しができればなと思っています。
2. 内部情報や愚痴などは全く書いていません
内部情報を書かないのは当たり前として、愚痴は問題解決であるべきだと思っています。在籍中も特に問題なく楽しく問題解決として改善できました。
目次
- 自己紹介:何者なのか
- 活動紹介:何をしてきたのか
- よくある質問:辞めた理由
- よくある質問:次の活動
自己紹介:何者なのか
東京でソフトウェアエンジニアやデジタルコンサルタントをしている @watilde といいます。AWS Japanというクラウド事業者の技術的な問題解決をカスタマーに提供するSA部署で、社外のコミュニティにいるアプリケーション開発者の生産性向上をエンジニアリングを通じて達成する仕事をしていました。プライベートでは、Node.jsのコミッターやプログラミング教育の分野で活動しています。
活動紹介:何をしてきたか
仕事面
AWSに入る前は、マッキンゼーにて7ヶ国でエネルギー・農業・鉱業・消費・通信・食品・金融・ヘルスケアなどの領域で主にデジタルを利活用するための戦略提案、POC、コーチング、M&Aに纏わるDDなどを行ってきました。AWS入社後は、戦略とOSSを軸にアプリケーション開発者に提供すべき価値と提供方法についてアジア、ヨーロッパ、アメリカのリーダーシップと合意形成をしながら戦略の立案と成功事例の創出を行っていました。過去の経験を元に、各プロセスをフレームワークに落とし込んで関係者デザイン、問題解決、グローバルメンバーとのコミュニケーション、Design thinking、Scrum、統計、エンジニアリングなどを使い分けて関係者と協業しながら開発者への価値提供のために試行錯誤を繰り返す日々でした。
試行錯誤の結果の一つとして、日本の開発者の声を起点とするサービス開発への参加とデリバリーの実施を日本のSA組織に在籍したまま実施することができました。

本件に関しては、一般的な合意形成の流れに則り下記のステップにて意思判断を行える関係者とのコミュニケーションを重ねて、提案から設計、開発、リリース、リリースブログの執筆までを実施しました。
- 関係者との信頼関係の構築
- 課題の発見と共有
- 解決策の提案と合意形成
- 解決の実施
- 結果の共有
USのサービスチームのエンジニアではないメンバーがサービス開発に参加することは非常に珍しいらしく、これを以て社内のアワードを頂けた運びとなります。
並行して、少しずつ実績を重ねている過程で幸運なことに日本のAmplify開発者コミュニティの運営に関心のあるメンバーと出会いAmplify日本ユーザーグループが立ち上がりました。他の処理系のコミュニティなどに親しく、AmplifyというAWSのサービスでありながらOSSでもあるコミュニティ内で、コントリビューターを中心にしたコミュニティが徐々に形成されているところとなります。私が過去に参加してきたOSSコミュニティでは運営に参加するメリットを自らデザインすることが求められてきましたが、AWSのサービスのコミュニティでは貢献へのリターンが提供されるCommunity BuildersやAWS Herosなどのプログラムが存在しており、活発に活動している方が報われる仕組みがある点が良いなと感じているところでした。実際に活躍している@tacckさんや@ikenyalさんなどがCommunity Builderとして認定されているところとなります。また、同コミュニティにはユーザーとして引き続き私も関わっていく予定です。
仕事外のOSS等(再掲)
Node.js分野では、言語そのものへのコミット、npm・Web関連仕様・関連ソフトウェアへのコントリビュート、Linux財団とNode.js関連資格の啓蒙、 @yosuke-furukawa さん・他運営メンバーとNode学園祭やJSConfJPの運営、その他カンファレンスでの登壇などをしてきました。

プログラミング教育分野ではScratchやhow-to-npmなどプログラミング教育関連OSSへのコントリビュート、NodeSchoolやCoderDojoでメンターをしています。

以降は、今後の活動など含めてFAQとしてよく聞かれる質問に回答していきます。
よくある質問:辞めた理由
前回の退職記事でも書いたとおり、医療への関心が強くあったことが内的要員となります。親族も歳を重ね、あとどれだけ交流ができるのか考える機会が増えました。限られた時間の中で、自身のスキルセットで価値が提供でき、解決すべき課題が多くあり、何より自分自身の手で問題解決を実施したいと思えたところでCAN-SHOULD-WANTモデルを満たしたと判断をしたところです。
また、外的要因としてAWSにて自分が所属していたチームを抜けても問題ないかの懸念ですが、所属していたチームには世界レベルの優秀なメンバーが次々に入ってきていたので自分が抜けても問題なく成長していくことに疑いの余地はありませんでした。
以上を元に、内的要因・外的要因として、どちらも次のチャレンジを行うのにブロッカーはないと判断しました。
よくある質問:次の活動
次は世界で医療データの利活用を広く推進するYuimediへの参加と、スタンフォードのGraduate certificateプログラムにてHCIを専攻することがメインの活動となります。
代表のグライムスとはMcKinsey時代からの同僚であり、共通言語を持っている上で価値観での共感を多く獲得することができました。利用者に価値提供をするために必要なチーム作りとして特に 1) 協業組織:デジタルヘルスケア領域では異なる専門家の対等な協業なくして問題解決は行えない 2) 利用者視点:常に利用者視点で声を聞きながら意思判断を行い、世界の関係者に価値提供を行うべき 3) 個人:利用者に価値を提供した人が明確にリターンで報われるべき などの3点を特に重視しているところです。
現状の組織を見ると、ほぼ全メンバーがバイリンガルでかつ明確な専門性を持っているところから私自身としても良い成長機会になりそうと思っています。プロダクト側は、大枠スクラムとNexusの中間のような形でヘルスケア領域の専門家、デザイナー、エンジニアが協業しているように見受けられます。開発側は特に魅力的で、Node.jsのコミッターが3名、コントリビューターが1名の4名で開発を行っており、私自身としても関わったメンバーを2 pizza程度までは全員Node.jsのコミッターになれるようにサポートしながらYuimediに関わらずエンジニアの市場価値を少しでも上げられるよう私のできることを提供できればと思っています。デザインでは、デザイン思考を元にプロセスが整備されているようですが、本格的な採用はこれからとのことです。私自身もHCIの学習をしながら、今までの経験を活かしてよりよいプロダクトの開発を行っていければと思っています。
プロダクトは、現状としてはNode.js, Electron, TypeScript, React, NestJS, AWSあたりの技術スタックの上で、npmのようなエコシステムを持つ医療データに特化したELTツールのようなものを作っています。この領域では、dbtやDataformなど、様々な先駆者がいる理解をしていますが、ヘルスケア業界特有の非機能要件や要求されるユーザー体験に大きなギャップがありそうです。利用者の声を聞きながら、長期的に目指すビジョンの実現に合わせて形を変えながらチーム一丸となってプロダクトの開発をしていければと思います。
よくある質問:中長期的に目指す方向性
最後に、私個人の中長期的な方向性について少し書いてみます。これもよく聞かれる質問で、キャリアの相談などの文脈で参考になるのか分からないと思いながらもよくお話する内容です。歳を重ねて、少しずつ自分の興味のあることが減ってきたんですが、最近では下記の3つに特に関心があります。
- 関わる人の市場価値の最大化
- 人を理解する
- ヘルスケア業界での問題解決
1の「関わる人の市場価値の最大化」に関しては、シンプルに言えば頑張っている人が報われて欲しいという想いです。同僚やTwitter経由などでキャリアの相談をよく受けているんですが、私自身は大それたことは何もしておらず、本人が気づいていない強みをヒアリングして整理して伝えることばかりです。私自身、昔は頑張ったのに評価されない、と嘆き続けていましたが、原因としては情報の整理がうまく行えていなかったところにあるのかなと今では思っています。これまでの仕事を通じてフレームワーク思考が身についたので、せめて自分が関わった人たちには、その整理を提供して適切な評価が受け取れるようにサポートしていければと思っています。
2の「人を理解する」は、主にデザイン思考の文脈です。戦コンでもプロダクト開発でも、常に聞き手、利用者などの視点を忘れずに問題解決をしてきましたが、UI/UXでも情報の整理が日々発生します。単純な論理的思考では解決できない課題に多く遭遇し、デザイン思考やd.schoolへの関心が出ました。結果として、今すぐに動ける部分としてHCIの勉強をはじめましたが、さらに深堀りしながら実務での価値を創出できるように学習プランを設計していければと思っています。
3の「ヘルスケア業界での問題解決」は、Yuimediに関わらずに個人的な関心としてある部分です。親族が医療関係者が多く、課題のヒアリングをする機会が多くあったんですがグライムスと話している中で業界構造の複雑さを垣間見ました。正しく理解し、デジタルや戦略コンサルタントの経験を活かして世界での価値創出をすべく、今後も活動を続けていければなと思います。まずは第一歩としてYuimediに入社することに加え、デジタルヘルスに関わる講義を行う機会を何回か頂いたので知見共有をしてきました。今後はもう少し忙しくなりそうなのでどこまで時間が割けるか分かりませんが、この業界に寄り添う形で今後も相互理解を深めていければと思っています。
お話してみませんか
この記事を読んで少しでも私と一緒に働いてみることに興味が出た方がいれば、TwitterやLinkedInなどでご連絡くださいませ。会社の現状、中長期的なビジョン、キャリアの相談などカジュアル面談でお話できるかと思います 🙂
- Twitter: https://twitter.com/watilde
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会社の応募フォームからご連絡頂ければ優先的にスロットを提供できるので、こちらも検討くださいませ。
Thank you AWS!
最後に、AWSの一部の同僚にお送りしたメールの一部をこちらにも記載し、直接ご挨拶できなかった方々への感謝の言葉とできればと思います。
Spelunking into application developer engagement in Japan as a strategist under AWS Japan while contributing to Amplify as a developer at the same time gave me a lot of new perspectives, and it was very fun to exchange values with great teammates through delivering results together. AWS has an evident culture, and “convention over configuration” in the real world seems to be carried out by OLP daily. Being an Amazonian for a year and a half quickly made me think of OLP as my own leadership principle, and it will continue in my journey.
Thank you all for inspiring me!
Do not hesitate to reach out to me when you need my help.
@watilde