ソフトウェアエンジニアとして2年半くらい勤めたマッキンゼーを退職しました

各SNSやメールなどで退職報告をしたところ、周りから反響がそれなりに大きく、同じような質問をいくつか受け取ったので簡単によくある質問への回答と簡単な自己紹介と伴に退職記事として書いてみます。

内容に入る前に、冒頭で伝えたいことが2点あります。

1. 退職した会社に対しては100%ポジティブな印象
楽しかった、の一言に尽きます。ある程度の質・量を伴ったアウトプットを出してきたソフトウェアエンジニアが、自身の活動領域を広げて深めるチャレンジを行うのに機会が多くある環境であると推せます。

2. 内部情報や愚痴などは全く書いていません
内部情報を書かないのは当たり前として、愚痴に関しては問題解決であるべきだと個人的に思っています。愚痴は問題として構造化して報告とし、報告を元に解決策を議論しながら提案・合意・実施すれば解消するもの。在籍中も特に問題なく楽しく問題解決として改善できました。

目次

  1. 自己紹介:何者なのか
  2. 活動紹介:何をしてきたか
  3. よくある質問:辞めた理由
  4. よくある質問:次は何をするのか

自己紹介:何者なのか

東京でソフトウェアエンジニアやデジタルコンサルタントをしている @watilde といいます。McKinsey Digital Labsというデジタルの研究所のような部署で、戦略コンサル・デジタルコンサル・ソフトウェアエンジニア・スクラムマスターとして組織改編・DX戦略提案・POCの開発リードなどを様々な業種で実施する仕事をしてきました。プライベートでは、Node.jsやプログラミング教育の分野で活動しています。

活動紹介:何をしてきたか

仕事面

マッキンゼーに入る前は、ソフトウェアエンジニアとして日本・オランダでアプリケーションレイヤーの中でフルスタックエンジニアをしていました。入社後は、日本外の7ヶ国でエネルギー・農業・鉱業・消費・通信・食品などのインダストリーで主にデジタルを利活用するための戦略提案、POC開発、コーチングなどを行ってきました。戦略というとふわふわっとしたイメージが自分にはありましたが、実際に行ってみると大きなソフトウェアの開発でたまに採用されるNexusに近いものを感じました。例えばプロダクト開発を行う大規模組織を改善する一般的なステップの例として下記のようなものがありますが、組織の特性やフェーズ、目的に応じて0からフレームワークを考えることが多かったように思います。

  1. 未来でプロダクトがユーザーに提供すべき価値は何であるべきか
  2. ゴールを実現するためにはいつどこで誰が何を行うべきか
  3. 最初の一歩を踏み出すのにどのように実現するか実際に共同で実施
  4. 成功した事例を組織内でスケールするためにプロセスの設計とコーチング

ソフトウェアエンジニアとしては、自分でいきなり作りたくなるものでしたが組織が継続的に成長するためには組織としての自己学習を可能とするプロセスが必要となります。また、自己学習も外的要因なしに短期間で獲得することは非常に難しく、詳細度の高い計画作り・実施・効果測定・軌道修正というPDCAを丁寧に回す必要があります。

組織の規模が大きくなればなるほどこの実装の難易度はあがり、狙いがハズレた場合のコストも膨大となります。非専門家の言語で効率よくコミュニケーションが行える専門家による継続的なサポートが結果的にペイしてきた歴史があるのだなと、振り返ると理解できます。

仕事外のOSS等

Node.js分野では、言語そのものへのコミット、npm・Web関連仕様・関連ソフトウェアへのコントリビュート、Linux財団とNode.js関連資格の啓蒙、 @yosuke-furukawa さん・他運営メンバーとNode学園祭やJSConfJPの運営、その他カンファレンスでの登壇などをしてきました。

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AmsterdamJS

プログラミング教育分野ではScratchやhow-to-npmなどプログラミング教育関連OSSへのコントリビュート、NodeSchoolやCoderDojoでメンターをしています。

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HaarlemのNodeschool

よくある質問:辞めた理由

社内外で高い頻度で自分は何がしたいのか考える機会があり、結論としてソフトウェアを通じて自分でダイレクトに社会を改善するときが一番楽しいと感じていることに気付きました。

Node.jsへの貢献は例として分かりやすく、14億以上ダウンロードされているプログラミング言語を少しでも改善することで、1人が書いたコードでも高効率にインパクトを創出することができます。組織改善を通じても当然大規模なインパクトは創出できますが、やはり自分がダイレクトに行えることが自身の幸福度に必要不可欠な要素であることが分かりました。

また、部署には世界レベルの優秀なメンバーが次々に入ってきていたので自分が抜けても問題なく成長していくことは疑う余地はありませんでした。これで、内的要因・外的要因として、どちらも次のチャレンジを行うのにブロッカーはないと判断しました。

よくある質問:次は何をするのか

大枠に分けて、3つのことを考えています。

1. Web開発者をサポートし、より本質的な問題解決に集中できる環境の構築

今はこれを会社員として次の仕事でやろうと考えています。オランダに行ったのも同様のモチベーションだったので、やはり自分の原点はここにあるんだろうなと戻ってきました。

具体的にはmBaaSを通じたプロダクト開発への集中をサポートしたいと考えています。こちらはまだ始まっていないので、公開できる状態になったら改めてお伝えします。

また、GitHub上でメンタリングサポートをスポンサーを通じて開始したので、悩みのある方、個人・法人問わずいましたらぜひ。

https://github.com/sponsors/watilde

2. 医療従事者をデジタルによりサポートし、患者へのよりよい医療の提供

父を含め、家系に医療関係者が多く、問題意識が常に頭にありました。サブとして、自分ができる限りでデジタルを通じて問題解決の手助けをして医療従事者・患者の幸福度の向上ができればと考えています。医療情報について勉強しながら、個人的にツールを作って提供しはじめていますが、こちらも身内用のクローズドなプロダクトなのでまたの機会にお話します。

また、この分野に関心のあるエンジニアは、ぜひお声掛けください。JSコミュニティとかと違って、どこにコミュニティが存在しているのか自分でもまだ分かっておらず…。

3. 自分が問題解決に集中できる仕組みづくり

仕事でマネジメントをはじめてから自分の生活を見返すと、お世辞にも効率が良い生活をしているとは言えませんでした。量・質・時間の軸で情報のインプット・アウトプットの改善をするのに、いくつかルール作りを改めてしてみました。

毎日のGitHub活動
インプットの部分です。過去にも何度か行いましたが、再開することにしました。習慣化することで、ソフトウェアエンジニアが何に困っているか自身がペルソナとなって理解でき、自分の目標達成の近道になると考えています。

毎週の運動
新型コロナウイルス下で、運動不足が目立つようになりました。室内をジム化したので、3日に1回程度運動を再開してみました。続けねば。

毎月の記事執筆
アウトプットの部分です。現在のところはMediumで記事を書き始めていますが、自分のブログでも記事を書くようにしていこうと考えています。無理せず、月1程度のペースからスタート。

3ヶ月毎の投資
こちらも過去に行っていましたが再開しました。内部者取引にならないように徹底しつつ、社会の問題と人々の活動の変化に敏感になるべく、開始しました。短期取引というよりは、3ヶ月単位くらいで様子を見ながら取引しても問題ない銘柄やコモデティなどを主に保持していきます。

以上近況でした。みなさんも健康にはお気をつけてー

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